◆スタッフ◆

製作:キティスタジオ/提供:Xces Film/監督・脚本:野上正義/脚本:五代暁子2003『覗き!おばさんの性態 午後の間男』より/撮影:中本憲政/照明:墓架冶郎/編集:田中修/録音:シネキャビン/助監督:高田宝重/スチール:本田あきら/現像:東映ラボ・テック

◆キャスト◆

谷川雅子:高根綾/榊久美:小川真実/谷川薫:青島ひかり/平山直人:津田好治/谷川夏彦:野上正義/内村智也:野島誠

◆解説◆

 我々の心の片隅には「怖いもの見たさ」なるのもが存在する。誰でも一度や二度、それ以上そう思った事があるはず。

 では、好奇心旺盛な皆様のために「おばさんの性態」という恐怖の扉をそっと開けてみよう!ナ、ナントその扉の向こうは、想像を絶する領域だった。無我夢中で不倫相手を貪る様は、恐怖を超えて神々しい。スーパーでチラシの品を奪い合う姿、残飯を食らうもったいない精神。そんなガテン系の〈おばちゃん〉だからこそ、男に貪欲に喰らい付くのか?そして、とにかくすけべだ。猛獣のようなその姿は、我々の脳裏にしっかりと刻まれる。

 そこで今回、主演のおばさん役に高根綾。おばさんと呼ぶには少しもったいない気がするが、正真正銘のおばさんだ。職業は主婦。趣味ジャズダンス。主人以外の人とヤリたいです。と、いうかなりすけべな彼女だ。

 監督は役者でおなじみ野上正義。エクセスで初監督を務めた。熟練の役者経験がものをいう作品に仕上がった。お楽しみに!

◆ストーリー◆ 谷川雅子(38才)は、専業主婦。夫・夏彦(43才)、娘・薫(18才)と暮らしているが、夫とはここ7年間セックスレス。逆に娘はすでに3年前くらいに初体験を済ませ、最近はきれいになって行く一方だった。そんな娘に目を細める夏彦。夏彦もまた、会社で主要なプロジェクトを任され、生き生きとしている。(私ひとりが取り残されているみたい。家族からも…社会からも…)雅子は、ひとりの昼間にオナニーするくらいしか楽しみがなかった。

 娘の薫には彼氏の智也(22才)がいる。今日も綺麗に着飾ってデートに出かけていった。「どう?ついにやったのよ、3日前」薫はプチ整形をしたのだ。「すげ〜いいじゃん!」と喜ぶ智也。ふたりはラブホテルでセックスする。

 夜遅くに帰宅した薫と雅子はケンカになる。そして、娘の整形に気がついた雅子は薫を責める。親に黙って大切な顔にメスを入れる事が許せないでいた。理解をしてやりたくても、どうしても今の若者達の感覚についていけない。聞けば、今の時代は誰でもメーク感覚でやっている事らしいが、世間から取り残されている平凡な主婦には理解しがたいことだった。

 一方、町内に住むフリーターの直人(28才)は、内向的な青年。とある会社のビル掃除のアルバイトをしているが、スーツ姿のサラリーマンにバカにされたり、イヤミを言われたり…。その鬱憤を、深夜の下着泥棒や覗きで解消している。

 雅子の近所の主婦仲間・榊久美は、子供のいない夫婦。今夜も夫・昇とSMチックなセックスをしている。直人は、榊家の庭に忍び込み、カーテンの隙間からその光景を覗き、興奮する。縛られ、バイブを挿入される久美。やがて夫婦は、激しいファックとなる。

 翌日。仕事帰りに直人は「谷川」と表札の出ている家を発見する。昨夜の久美の言葉『あの人セックスレスだから…』を思い出す。見上げると、ニ階のベランダで洗濯を干している雅子が見える。その姿に見とれる直人。なんと、その容姿は直人の亡きの母にそっくりだったのだ。直人は母のことを思い出す。

 直人はアパートの部屋に帰る。すると部屋の片隅には小さな仏壇と雅子ソックリの母親の遺影に「母さん・・・」とつぶやく。目をつぶり直人は雅子と入浴を幻想する。優しく背中を流してくれる雅子。直人が幼い時、母親がしてくれたように…。

 雅子の家に宅急便が届く。それは雅子が思いきって注文したバイブレーターだった。待ちに待ったその小包をさっそく開ける。白昼のバイブオナニーを堪能する雅子。「すごい!噂には聞いてたけどこんなにいいなんて!」イキまくる雅子。

 その時、直人が谷川家の周囲をウロついていた。また雅子の顔を見たいと思ったのだ。敷地内に侵入した直人は、オナニーにあえぐ雅子の声を聞いてしまう。そして、覗く。イキまくる雅子と覗いていた直人の目が合う。「キャーッ!」叫んだ瞬間、膣ケイレンを起こしてしまう。恥も外聞もなく、直人に助けを求め、どうにかバイブを引き抜いてもらった。

 二人はこの事がきっかけで社会から取り残された者同士、以来、頻繁に真昼のセックスをするようになる。

 会う事を重ねていくうち、雅子は直人の母親の写真を見せられた。「ウソみたい!ホントにそっくり!」と驚く。「35でポックリ逝ってしまったんです。生きていれば、もちろん、奥さんよりずっと年上だけど、僕の記憶の中の母は今でも35のままです」「直人くん。かわいそうに」直人を母親のように抱き締める雅子。

 直人が昼間、谷川家に出入りしていることが、久美に気付かれてしまった。「どういうことなの?年頃のお嬢さんがいるのにヤバイんじゃない?」と忠告して来る久美。

 しかし、雅子はその朝、夫が忘れて行った携帯電話のメールを見てしまい、夏彦がどうやら会社のOLと浮気しているらしいと気付いていた。娘も夫も勝手なことをしているのだからと、完全に開き直っている雅子。

 直人のおかげで最近綺麗になった雅子を少し羨ましがる久美。「いいなあ。あの子、まだバリバリ20代よね?一回お借りしたいもんだわ」「イヤよ、そんな!それに久美さん、ご主人とうまく行ってるんでしょ、アッチの方」「もちろん!だから、主人も一緒によ。私たち、そういうの平気な夫婦なんだ、実は」直人から久美夫婦のSM趣味を聞いていた雅子はなるほど、と思った。

 谷川家の朝。夏彦と薫に朝食を出している雅子。と、夏彦には携帯メールが入り、薫には智也からの電話が入る。夏彦は、「今日は接待で遅くなる。先に寝てていいからな」と言い、薫は「私、由利ん家に泊まる。なんか相談があるんだって」「どうぞご自由に!」明るく答える雅子。

 駅への道を一緒に歩く夏彦と薫。「ねえお父さん。お母さん最近変じゃない?」「お前もそう思うか?」「前みたいにカリカリしなくなったし、文句も全然言わないし」「・・・バレたのかな?」「え?なにが?」「いや。なんでもない」「でも、きれいになった。私は今のお母さんでいて欲しいな、これからも」「ああ、そうだな」語り合う父と娘。