◆スタッフ◆

製作:ネクストワン提供:Xces Film/脚本:黒川幸則・本田千暁/監督:黒川幸則/撮影:村石直人 /照明:鳥越正夫/助監督:新居あゆみ/編集:酒井正次/スチール:MAYA/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック

◆キャスト◆

小金井ハルコ:かすみ果穂/山本優子:倖田李梨/古賀朱美:友田真希/後航平:久保田泰也/佐藤義則:石川雄也/中野圭介:丹原新浩/古賀篤:飯島大介

◆解説◆

 円高の為かアジア旅行に出かける人が多い中、語学学校も大流行り。韓国語に始まり中国語、広東語、ベトナム語と様々ある。そんな中、もっともマイナーで神秘的なタイ語にスポットを当ててみた今回の企画『夜のタイ語教室 イクまで我慢して』

 結婚まじかのハルコが憂鬱なマリッジブルーを外国語で解消?普段言えない言葉『キスして!』『もっと激しく』『アソコを舐めて』などをタイ語で彼氏に求めます。初めは何の言葉か分からなかった彼氏だが、その意味を知ると…。後は観てのお楽しみ。

 主演はかすみ果穂。豊満な胸にも関わらず、スレンダーなナイスボディ。全身を使って彼氏にご奉仕。『セックスの時とかにタイ語って何か燃えますね!』とヤル気満々。本気汁を垂れ流します。

 監督は黒川幸則がお贈り致します。

◆ストーリー◆

 小金井ハルコ(26)と後航平(27)は結婚を控えたカップル。既に一緒に暮らし始めて二ヶ月が経ち、ハルコは専業主婦のような暮しをしている。元々素敵な奥さんになることが夢だったハルコは、節約したり、料理したり、初めての二人暮らしを楽しんでいた。「エステでも行こうかな」と言うハルコに航平は「今さら意味ないじゃん」とそっけない。「そうかなあ。だって、みんな結婚式の前は通い出すみたいだし」「ハルコはそうやってすぐ乗せられる。別に人と同じでなくていいじゃん」「そうだけど」他人の意見に流されやすく優柔不断なハルコに、航平は意見してくれる。保守的なところもある航平だけど、今のところハルコは満足していた。

 ある日、マンションの隣室に中年夫婦が越して来た。息子もひとり立ちし、今は夫婦二人で穏やかに暮らしているのだという。優しい笑顔の夫婦を見て「自分もいつかはこうなれたら良いな」と思っていた。その日の深夜、ハルコがトイレに入ると、隣の夫婦の激しい喘ぎ声が聞こえてきた。思わず耳を澄ますハルコ。初めて聴く他人のセックスの音。しかも自分たちとは全く違う激しい声。「あんなセックスがあるなんて」その日は胸がザワザワしてなかなか寝付けなかった。次の日の朝、ぼんやりしている彼女の様子を航平は不思議に思うが、ハルコは昨日の出来事を話すことができない。出がけに隣の奥さんに会うが、昨日の声が嘘のように穏やかな笑顔を浮かべていた。

 ハルコは週一回、タイ語教室に通っている。元々ハルコ自身はタイには興味が無かったが、タイ旅行に行った後すっかりタイの虜になった元上司の山本優子(39)に誘われ、何となく通い始め、優子が早々に飽きて辞めてしまった後も律儀に毎週通い続けている。講師の佐藤義則(38)がハルコに、優子はもう辞めてしまったのかと尋ねた。優子はタイ語に飽きたらしいと答えると、佐藤は何か言いたそうな顔をしたが、ハルコはそれに気付かない。レッスンが終わり、帰り一緒になった佐藤がハルコに近づいた。「近所に美味しいタイ料理屋できたんですけど、どうですかね?」「さあ、私タイ料理好きじゃないんです」「そうなんですか・・」「そうなんですよ」佐藤はハルコを食事に誘いたかったのだが、彼女はそれに全く気付いてなかった。

 その夜深く、なぜか目が覚めてしまうハルコ。恐る恐るトイレに入ると、また隣室の夫婦のセックスの声が聞こえてきた。しばらくその声を聞いていると、少しの興奮と得体の知れぬ焦りを感じ始めた。航平を起こそうと身体を揺するが、航平は仕事の疲れで熟睡している。つれない航平の横で、独り眠れないハルコだった。

 数日後、優子とお茶するハルコ。「なんだかんだ言ったって一番大事なのは体の相性よ。前の夫はお金もあったし、性格も嫌いじゃなかったけど、その一点だけがダメだった。小金井さんは大丈夫?」バツイチの優子は、今は様々な男と遊んだりして独身を謳歌しているらしい。ハルコは航平が初めての相手なので正直よくわからなかったが、経験が遅かったことをなんとなく恥ずかしく思い、それを周りには隠していたので経験があるフリをして「今までの中では一番いいんじゃないですかね」と答えた。「へえ。そう思えるんだったらいいけど。結婚した後で超相性が合う人と出会っても不幸だもんね」「結婚してからじゃ相性が合うとかわからないじゃないですか!」「あ、そうだね。普通はそうだ」

 しかしハルコは、優子の話を聞いて以来、航平とのセックスについて考えるようになった。ベッドの中で何となく始まり、電気は必ず消して、キス、短い愛撫・・と流れ作業のようなセックス。私たちの体の相性はいいのかしら?他の人のセックスってどんなものだろう?結婚してからじゃ相性が合うとか分からない…頭の中がもやもやしだすハルコ。

 深夜、トイレに籠って隣のセックスを聞きながら、ハルコは思った。世の中にはもっといろんなセックスがあるのにこのまま一人の人しか知らないまま、人生を終えていいの?

 その頃、佐藤と優子はホテルにいた。「なかなか会えないし、教室も辞めちゃうし、変だと思ってた。別れたいの?体は俺が一番合うって言ったじゃない」「そうだけど・・あなたは家庭が大事だから」「奥さんとはセックスレスだよ」「これで最後よ」そう言ってセックスに没頭する優子。本心では、別れたくないのだ。

 数日後、ハルコは優子から合コンに誘われる。いつも以上に押しの強い優子に、断る事も出来ず、結婚前に合コンを体験してみたい気持ちもあったので、結局参加したハルコは、そこでサラリーマンの中野圭介(35)と出会った。深海魚が好きな圭介から珍しい魚の話を聞かされるハルコ。はじめはあまり興味が持てず「変な趣味だな」と思っていたが写真などを見せられるうちに徐々に会話に引き込まれていった。「伊豆に深海生物の標本が沢山あるところがあって、かなり行きたいんですよ」「おもしろそうですね」「女性で、本気で興味持ってくれた人、初めてです!」嬉しそうに笑う圭介。更にお酒が入って盛り上がる。

 かなり酔っぱらったハルコの手を握る圭介。ハルコは一瞬戸惑うが手を離さない。航平以外の男性とふれあうこと自体が初めてのことなので心臓が飛び出しそうなほどドキドキしているが、酔いも手伝ってフワフワしていた。そのまま圭介とホテルに入り、抱かれてしまうハルコ。海の底を漂うような気持ち良さで、ハルコは裸のまま眠ってしまった。だが目を覚ましたハルコは、酔っていたとはいえ航平以外の男と寝てしまった自分に驚く。目覚めた圭介に、「実は私…結婚するんです」と言い捨て、足早にホテルから逃げ去るのだった。

 航平以外の男性に初めて触れて、ハルコは悶々とするようになっていた。しかし、航平には、ああしたいこうしたいと言い出せない。結局いつも通りのセックスになるのだった。

隣りの奥さんは、夫婦はコミュニケーションが大事、色んな経験を積んで、互いを理解し合ってなどと、ハルコに新婚の心得のような事を話すのだが、「はあ、やはり。それであんなに凄いんだ・・」奥さんの言葉は、今のハルコの耳には、セックスの事としか聞こえないのだった。

 ハルコはタイ語教室で「男と女のタイ語会話術」という本を見つける。そこにはタイ旅行に行った時に男が女を誘う時の文句や、単純に卑猥な言葉がたくさん載っていた。ぼそっと口にするハルコ。楽しくなったのでその本を持って帰り、家でも何度も口にしてみた。航平に「今のどういう意味?」と聞かれても「秘密」とはぐらかしていたが、急に寂しそうな表情で「リアノーイ・・・」などと呟くのだった。

 そんなある日、優子から電話があり、突然、佐藤と別れたと聞かされた。優子の相手が佐藤だと初めて知ったハルコは、佐藤と優子が一体どんなセックスをしているのか、気になりだす。優子が言う体の相性が合うって、一体どんなことなんだろう?

 次のタイ語教室の帰り際、ハルコは佐藤に呼び止められた。「このあと予定ありますか?」「は、はい」・・・バーで飲む二人。「あの本、どうしたんですか?」「すみません、勝手に持ち出して」「いや、ただ、小金井さんがああいう本読むなんて意外で」酔っ払ってきたハルコは、自分の思っている事を打ち明ける。「馬鹿みたいな話なんですけど・・、彼氏にほんとはあんな風にしてほしい、こんな風にしたいっていうのがあって、でもなかなか言えなくて。そのストレス発散というか・・」男の人はいろいろ注文をつけられると自分が否定されていると感じてしまうのでは?

 酔っ払ったハルコは、携帯電話を忘れて、深夜のタイ語教室に取りに戻る。部屋に入るなりキスし、体に触れる佐藤。ハルコは思い切って、自分がして欲しいことをタイ語で口にしてみる。その通りしてくれる佐藤は、航平と違い、丁寧で優しい愛撫をしてくれた。ハルコは、敏感に感じてしまう。だが、「経験少ないって聞いてたけど、気にする事ないよ」そう言われ、ハッとするハルコ。「そんな事、誰が言ったんですか?もしかして優子さん?」経験少ないってバレバレだった?二人で笑ってたのかも?「私、馬鹿みたいじゃないですか!」コンプレックスを突かれたハルコは、恥ずかしくなって、慌てて逃げ出した。

 ハルコが落ち込んで帰宅すると、航平が、トイレで隣りの夫婦の声を聞いていた。「あ、ハルコ、いい所に帰ってきた・・ちょっと聞いてよ、ほら」初めて聞く航平は、無邪気に面白がっている。「あの夫婦だよ。すげーよな」そんな航平に呆れるハルコだが、「人の事なんかいいじゃない。それより、このあいだの言葉の意味、教えてあげようか?」と言って、航平を見つめるハルコ。「え?」「○○○○」航平の耳元に囁くと、強引にキスをし、押し倒した。「ちょっと・・ハルコ」あまりにがむしゃらなハルコに抵抗できず、為すがままにされる航平・・。

 朝が来て明るくなった部屋。ハルコはベランダに出て朝日を見つめている。「これからも、よろしくね」朝日に向かって呟くハルコ。航平は気付かず眠っている。