お掃除女子 至れり、尽くせり
2010年公開
◆スタッフ◆製作:ネクストワン/提供:Xces Film/脚本・監督:工藤雅典/撮影:井上明夫/照明:小川満/編集:三條和生/音楽:たつのすけ/助監督:高田宝重/スチール:MAYA/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック
◆キャスト◆田沢友美:星野あかり/緑川梨奈:佐山愛/柏倉真理江:酒井あずさ/柏倉啓太郎:深澤和明/田沢健次:園部貴一/玉虫秀之:平川直大/岩谷剛志:清水大敬/萩村一夫:野上正義
◆解説◆ 華の芸能界に憧れる女性は大変に多が、テレビで見ている様な華々しい世界だけではない。アイドルやタレントは一時期はもてはやされるが、人気に陰りが出ると使い捨てのカメラの様にポイ捨てされる。それでも必死に芸能界に残りたくて、カラダで役をもらう女優もいるとか?そんな、芸能界の裏側に迫った今回の作品。
主演は星野あかり。セクシーなカラダを使って芸能界に残ろうとする彼女の行く末は?
監督は工藤雅典がお送り致します。
◆ストーリー◆ ある豪邸の廊下。掃除用具を抱え、壁にもたれる田沢友美。ため息をつく。廊下まで漏れて来る男女の喘ぎ声。部屋の中では、スター俳優・島本啓太郎が愛人の女優・緑川明子と獣のようなセックスをしている。友美のところにやって来る、ずるそうな目つきの男。啓太郎のマネージャーの坂口浩和だ。啓太郎は妻の大女優・島本真理の留守中に愛人と自宅で浮気をしているのだ。タバコに火をつける坂口。やがてバスローブを羽織った、啓太郎と明子が部屋から出て来る。バスルームに去って行く二人。
部屋に入る友美。散乱するコンドームや大人のおもちゃ、ぐしょぐしょに濡れたベッドなど。伏せられた写真立てを起す友美。そこには、島本真理と啓太郎の幸せそうなツーショット。ため息をつきながら掃除する友美。
掃除用具を持ってトボトボと階段を上がる友美。友美のボロアパート。電気代や水道代の請求書がドアの隙間に挟まっている。部屋のドアを開ける友美。ゴミだらけの部屋。センベイ布団に寝転がり、テレビゲームをしている若い男。ぐうたらな弟の健次。べランダで酒を飲んでいる健次と隣の部屋に住む老人・萩村。萩村は、身寄りの無い孤独な老人で極貧の生活をしている。友美が女優を目指している事を知り、自分もかつては映画俳優だったと語る萩村。全く信じていないが「はい、はい」と適当に相づちを打つ友美。萩村が語る華やかな撮影所や撮影現場の様子。酔った萩村は、気持ち良さそうに去って行く。
豪華マンションの前。住所を書いたメモを手に、震えながらたたずむ友美。MHSテレビのプロデューサー・岩谷の自宅があるマンション。インターフォンから中へ入れとの指示。恐る恐るドアを開けると、犬の首輪をされ、床にはわされている全裸の女。啓太郎と寝ていた明子だ。驚く友美、逃げようとするが岩谷につかまる。岩谷「逃げる事はない、君の事は坂口から聞いてるよ」身体がすくんで動けない友美。岩谷「名前は、なんて言ったかな?」友美「は、はい。女優の、た、田沢友美です」岩谷「女優?ははは。掃除婦だろ!」凍り付く友美。裸にむかれ、明子と並べられる友美。ディレクター・菅沼も加わり、一緒に犯されていく二人。落ち込む友美。
友美のアパート。並んで酒を飲んでいる萩村と健次。帰って来る友美。健次「お帰り。どうだったオーディション?」涙目で健次を睨みつける友美。ダメだったと察する健次と萩村。萩村「…まあ、役者の道は厳しいからな。そう簡単にはいかないさ」友美「あなたに何が分かるの!俳優だなんてウソついて!あなたなんか、テレビでも映画でも見た事ないわよ!」奥の部屋に入り、襖をぴしゃりと閉める友美。悲しい顔の萩村。健次の頭を撫で、萩村「ボウズ、姉さんをもっと助けてやれよ」静かに去って行く萩村。
翌朝。健次に起される友美。健次「大変だ、萩村さんが死んだ!」
萩村の部屋。萩村の遺品を整理する健次と友美。見守る管理人。
管理人「萩村さん、天涯孤独だったから、君たちに後始末してもらってきっと喜んでるよ。じゃあ、よろしくね」と、去って行く管理人。机の引き出しから出て来た沢山の写真を友美に見せる健次。写真には若々しい萩村が俳優として活躍している姿が写っている。健次「萩村さんは、撮影所の大部屋ってとこにいたんだって。俳優ってのは、まんざらウソでもなかったんだ。ほら、こんな大スターとも一緒に写ってる」胸が詰まる友美。
重い気持ちのまま、モップを引きずり仕事に出かける準備をする友美。そこへ、バケツを持った健次が現れる。健次「俺、手伝うよ」友美「どうしたの、急に?」健次「まあ、遊んでばかりもいられないし…」友美「ふーん。まあ、足手まといにならないようにね」健次「ちぇっ。随分だな」不満そうな健次、微笑む友美。
啓太郎の豪邸。啓太郎と明子が汚した部屋を掃除する友美と健次。坂口が横でタバコをふかしている。坂口「MHSテレビの連中な。もう一度、オーディションしたいってさ。お前、かなりいい線いってるそうだ」友美「あの局のオーディションは二度とゴメンです。こちらから、お断りします」
啓太郎の豪邸の一室。掃除のためにドアを開け、中に入る友美。ウイスキーのグラスを片手に、啓太郎が台本を開いている。友美、憧れの啓太郎を前に、立ちすくむ。振り返り友美を見る啓太郎。友美「すみません」慌てて部屋を出ようとする友美。啓太郎「待ちなさい」立ち止まる友美。啓太郎「掃除屋さんだね?」友美「は、はい」啓太郎「君、女優志望なんだって?」友美「え?ま、まあ」啓太郎「じゃあ、ちょっとこの台本の相手役をやってもらえないか?一人じゃ、どうも台詞が頭に入らなくてね」友美「ダ、ダメです。私なんか!」逃げ出す友美。
家に帰り着いた、友美と健次。スイーパーを啓太郎のマンションに忘れた事に気づく。友美「あら、いやだ。明日は朝からオフィスの掃除が入ってるのに」健次「それなら俺、戻って取ってくるよ」踵を返す健次。
啓太郎の部屋。ベッドの下にもぐって忘れたスイーパーを探す健次。「何してるの!」と女の声。健次がベッドの下から顔を出すと、驚くような美女が立っている。啓太郎の妻の大女優・島本真理だ。真理「あなた、坂口が雇ってる掃除屋さんね」言葉が出ない健次。真理「浮気の証拠を消せと言われてるらしいけど、完璧とは言えないわね」枕カバーにくっ付いた長い髪の毛を手に取る真理。 ベッドの上。裸にされた健次に跨がり、ブラを取る真理。真理「あいつ、私が浮気に気づかないとでも思ってるのかしらね」健次、あまりの事に怯えながらも勃起してしまう。健次の上で激しく腰を振る真理。部屋の外では、啓太郎が無表情で立っている。
数日後。ある掃除の仕事の現場。掃除する友美。口数少なく手伝う健次。友美の携帯が鳴る。友美「あ、坂口さん?どうしたんです、声が震えてますよ」真理の部屋。坂口「さっき警察を呼んだ。大変なことになったんだ」
床に倒れた明子が血まみれで死んでいる。血に染まった真理の部屋を掃除する友美と健次。その脇でタバコをふかす坂口。坂口「カミサンの真理の仕業だってさ。女の嫉妬は恐ろしいねぇ」健次「真理さんは、ぞんな人じゃない!」健次の剣幕に驚く友美、坂口。友美「健次、どうしたの?」坂口「お前、ファン?お前に何が分かるんだよ」黙る、健次。友美「それで真理さんは、今どこに?」
坂口「ずらかっちまったよ。指名手配さ」そこへやって来る啓太郎。啓太郎「掃除屋さん、ちょっと」友美「私ですか?」 雨の中、アパートに一人帰って来る健次。廊下の片隅に隠れている真理。驚く健次だったが…。