発禁本 緊縛肉襦袢

1999年公開

◆スタッフ◆

製作……………フィルムハウス

提供…………XcesFilm

脚本……………有馬仟世

監督……………大門通

撮影……………原田清一

照明……………小川満

編集……………金子尚樹

助監督……………羽生研司

スチール……………加藤彰

録音………………シネキャビン

現像……………東映ラボテック

縄師……………明智伝鬼

◆キャスト◆

遠藤美佐代…………月岡みちる

遠藤弥生…………麻生みゅう

則子…………佐々木基子

遠藤徳蔵…………岡田謙一郎

丸山昭平…………久須美欽一

若山幸雄…………山内健嗣

◆解説◆

最近では、若い女性にSMプレイが受け入られるようになった。レディースコミックなどには必ず登場するSMシーン。SMファッションの流行など、SMに対し何も抵抗を感じなくなった女性達が今、SMを変態視するのではなく、心の奥底に隠し持っていた欲望に素直に接しているのだ。

このように、全ての女性は生まれながらにSM願望を持っている。始めは彼氏との目隠しプレイ。言葉責めなどソフトなSMごっこにはじまり、そのなかにはSMクラブでの本格的プレイヘと、よりハードなプレイを好みSMの虜になっていく者もいる。

そんな女性たちのために最近のSMクラブではSMの『レッスン講座』というものもあるらしく、初級ではSMの極意を充分に教え込む。さらに希望者には中級。飲尿などハードな内容の上級。と、一通りの事を学び講習を終え、完全なS女、M女として奴隷を持ち、または、ご主人様の下へと服従するらしい。

今回は、SMの女王様歴10年の主演縄の魔術師月岡みちる。まるで一本の縄が彼女の手となり、足となり、自由自在に体の上を這い回る。女性を緊縛することが何よりも好き。縛り上げた女性の体は美しい。と、彼女は言う。

そんな女王様をこの作品では縛り、吊し、いたぶる。この人ぬきではSMは語れない大門通監督。女王様としての生活している彼女をどの様に変えていくのか?荒縄の跡がすべてを物語る『発禁本緊縛肉襦袢』お楽しみに。

◆ストーリー◆

・遠藤家夜

徳蔵『55』が美佳代『38』を抱いている。その喘ぎ声で目覚める弥生『19』弥生、父親の寝室を覗く。父に抱かれて悶え狂う義母の美住代。そんな二人の姿を見て憎悪を燃やす弥生だ。

翌朝。徳蔵は大蔵省への出張の支度で忙しい。それを尻目に朝食も採らずに出掛ける弥生を、心配する美佳代に「あまりみせつけないでよッ」とあからさまに嫌みを言って出掛ける弥生だ。ショックを受ける美住代。

・町中

昭平『48』が愛人の則子『28』から生活費を工面してもらっている。長年勤めた銀行をリストラされた昭平は、愛人のホステス・則子からも嫌われている。

そこへ弥生をナンパした幸雄『26』が通りかかる。昭平は銀行幹部の徳蔵の一人娘を連れた幸雄に目をつけ後を追う。ラブホテルに入る弥生と幸雄。

・ラブホテル

二枚目の幸雄に抱かれる弥生。弥生は義母への恨みを幸雄に話す。弥生は憎い義母を懲らしめる方法はないかと、幸雄に相談をもちかけるが、それに反対する幸雄。弥生は自分の身分を幸雄には隠している。父はただのサラリーマンと言ってあるのだ。

弥生と別れた幸雄に声を掛ける昭平。幸雄は昭平と顔見知りだ。昭平の銀行の貸し渋りで幸雄の勤めていた会社が倒産に追い込まれたのだ。冷たく当たる幸雄に、自分もリストラされた身の上を話し、弥生がその銀行幹部の娘であることを知らせる。驚く幸雄。昭平は幸雄に「どうだ、二人で一稼ぎしないか?」と、ある計画を持ちかける。あの豚野郎の銀行屋への復讐だ。それを聞いて、目を輝かす幸雄である。

・山中の国道ドライブイン前

幸雄の運転する車が来て止まり、缶ジュースを飲む弥生と幸雄。幸雄は弥生に偽装誘拐劇を仕立てて、義母の愛情を確かめることを提案する。その計画に喜んで乗る弥生だ。

・山中の別荘

幸雄が弥生を連れて来ると昭平が待っていた。幸雄は弥生に「この計画に協力してくれる友達だ」と昭平を紹介する。早速弥生は義母の美佳代に携帯電話で電話をして、「私、さらわれたの。三百万円持って来て、ママが本当に私を愛していること、証明して見せて。警察には絶対知らせないで、さもないと、私は犯される」と泣いて芝居をする。それを見ててほほ笑み会う昭平と幸雄。二人はこれも芝居の内だと言って、弥生を縛り上げてしまう。ほどなくして、何も知らない美佳代が血相を変えて金を持ってやって来た。縛られた露な弥生の姿を見て驚く美住代。美住代は約束の金を昭平に渡し、「約束だから弥生さんを放して」苦と訴える。「それじゃ、あんたが身代わりになるね?」と問う昭平。「私を本当の娘と思うなら、本当に愛しているなら、そうしてよ」と泣いて頼む弥生。美佳代は仕方なく身代わりになることを承知する。昭平は「そうでなくちゃ、母親とは言えない」と手荒く美佳代を縛り上げる。それを見て、感激する弥生。「これでママの愛情が証明されたわ、芝居は終わりよ。早く解いて」と訴える弥生。

すると態度を豹変させる昭平と幸雄。「そうはいかねえ。お楽しみはこれからだ」と、二人に鞭を打つ昭平。それを写真に撮る幸雄。「ひどいひどいわ」と泣きじやくる弥生と美住代。「おまえらが憎い訳ではない。お前の父親の徳蔵が憎い。民衆を散々食い物にして、がめつく儲ける銀行屋が許せんのだ。バブルの付けを民衆に回し、忠実な部下まで切り捨てるやり方には、ほとほと愛想もつきた。名もなく貧しい民衆の怒りの復讐、しかと味わえ」そう言って昭平は容赦なく弥生と美佳代を責め立てる。その苦痛が、いつしか快感に変わり悶え苦しむ妖艶な絵図が展開される。「言うことを聞かなければ、この恥ずかしい写真を町中にビラ撒くぞ」と脅しながら幸雄は、写真を撮りまくる。鞭打ちショーが終わるとバイブいたぶりショー。放尿ショー。それからろうそくショーと続くのだ。

そこへ則子が昭平から頼まれた物を持ってやって来る。

仕上げはマインド・コントロール用の向精神薬と、山イモを使ったレズショーだ。則子はオルゴールの甘いメロディーを聞かせながら美住代と弥生をいたぶり、レズの味を教え込む。レズの世界にのめり込む美住代と弥生。その妖艶な姿に興奮した昭平は、則子を抱き寄せる。

・遠藤家

徳蔵が出張から帰って来る。出迎える美住代と弥生。則子が新しいメイドとして徳蔵に紹介される。

夕食後のブルジョワジーの慎ましい楽しい語らい。そこヘメイドの則子が『お薬』をもってやって来る。美住代と弥生は差し出きれる薬を飲む。則子はそばのオルゴールの蓋を開ける。例の甘いメロディーが流れ出す。すると美住代と弥生はまるで誰かに操られるように、条件反射で徳蔵の目の前でレズショーを展開する。驚く徳蔵である。それを見てほほ笑む則子だった。