逆セクハラの危険 私は、変態常習者!
2009年公開
◆スタッフ◆
製作:フィルムハウス/提供:Xces Film/監督・脚本:佐々木乃武良 2000年「口説き屋麗子 火傷する快感」より/撮影:佐藤文男/照明:藤塚正行/編集:金子尚樹/録音:シネキャビン/助監督:竹洞哲也/スチール:本田あきら/現像:東映化学
◆キャスト◆
南条麗子:沢木まゆみ/島杏子:葉月蛍/楠田美帆:麻生みゅう/甲斐靖彦:なかみつせいじ/佐伯明:岡田謙一郎/南条俊夫:加藤智明
◆解説◆
世の中には色々な種類の職業がある。サービス業から農業、はたまた日頃お父さん達がお世話になっている風俗産業までと多種多用だ!
そんな中で気になる職業が私たちの目に止まった。
「口説き屋」…。※口説き屋とは…。「男や女に色目を使って上手に別れさせる現代の仕置人こと」な、な、なんと言う職業だ…!そこでエクセス緊急企画第一弾!「口説き屋麗子 火傷する快感」」
美人の口説き屋に扮するのは、Ⅴシネマで大活躍中の「沢木まゆみ」ちゃん。美貌を武器に男達をメロメロに、そして女達もヌルヌルしてしまう超エロエロ女!こんな女に口説かれたら、世の真面目なお父さんも一撃でころっとイク!
監督は御存じ佐々木乃武良。エロス道を極めた演出は、我々をエクスタシーの世界に導く…。
世のお父さん方!美人には注意しましょう。
◆ストーリー◆ 南条麗子は美しく貞淑『逆セクハラの危険 私は、変態常習者』スチール2
な若妻。学生時代から熱烈なラブコールを送ってきた俊夫と幸せな家庭生活を営んでいる。だが、麗子には夫・俊夫には決して言えない秘密の仕事があった。口説き屋である。
何気ない郵便物を装って届けられる興信所からの依頼書。ターゲットとなるべきカップル、佐伯明と楠田美帆の辞細な行動監視記録に目を通す麗子。この二人をうまく別れさせるのが仕事である。依頼人である佐伯の妻は、浮気を清算させて、夫とのヨリを戻したいのであろう。となれば、麗子の口説く相手は美帆という事になる。さっそくターゲットを確認すべく、行動を開始する麗子。
佐伯明は大手企業のサラリーマン。浮気相手の楠田美帆は部下の女子社員。いわゆるオフィス不倫である。昼下がりのラブホテルで愛を交わす二人。美帆の熱烈な恋心が明の心を動かし、離婚の秒読み段階にまで進展していた。
仲睦まじい二人を監視する麗子。この場合、口説き屋の手順としては、まず浮気相手である女性に、仕掛け人の女が近づき、親しくなったところで、仕掛け人の男を紹介し、口説かせて、まんまと心変わりさせて任務終了となるのだが、清純そうな美帆を見て、自分が口説こうと決心する麗子。盲目の恋に夢中な女が、他の男性に振り向く可能性は少ない。それに美帆はどこか心を疼かせる女性であった。
偶然を装い、美帆と接触する麗子。もちろん相手の心を奪うのだから、肉体関係を持つのは必然である。女子校生時代からこの商売に身を染めた麗子にとって、口説き落とした相手は数知れず、当然レズの経験も豊富である。そんな百戦錬磨の麗子に、たちまちのうちに身体を奪われ、女同士の新たな刺激に目覚めてしまう美帆。明のことなどすっかり心から消えて、麗子に夢中になる。結果、明はフラれる形で結末を迎えた。任務終了である。あっさり美帆の前から姿を消す麗子。悲痛に暮れ、絶望に陥る美帆。しかし麗子は何も感じない。口説き屋の仕事は、麗子にとっての恋愛ゲームなのである。いかに相手を酔わせて別れさせるか。そのスリルと興奮が、人妻となった今でも口説き屋を続けている要因であった。成功報酬が振り込まれた通帳を、満足げに見つめる麗子。
幸せな若妻である麗子。優しく頼りがいのある夫、俊夫に不満はない。まして仕事とはいえ、見知らぬ男や女と擬似恋愛し、セックスすることに罪悪感を感じないわけではない。しかし、口説き屋をやってなかったら、この結婚生活も地獄の苦しみになるに違いない。俊夫に抱かれながら、夫を幸せにしてあげるのには、仕方のない事なのよと、納得する麗子。
興信所か『逆セクハラの危険 私は、変態常習者』スチール3らの新たな依瀬が舞い込む。ターゲットは甲斐靖彦。彼に熱を上げている娘、杏子の父親が依頼人であった。売れない貧乏小説家の靖彦と別れさせ、前途有望な青年実業家と結婚させようというのである。
さっそく靖彦に接近する麗子。内情を探るうち、一方的に熱を上げているのは杏子の方であり、靖彦は迷惑がっている事がわかる。さらに、杏子を諦めさせるよう、僕の恋人として演じてくれないかと靖彦に頼まれ麗子。是が非でもない申し出に、内心ちょっと落胆する麗子。こうして相手も同意している以上、杏子を別れさせるのは簡単である。靖彦との恋愛ゲームの駆け引きを楽しむ必要もない。口説き屋としては面白くない仕事であったが、楽して報酬を稼ぐのも悪くないと思う麗子。
だが、予想は裏切られる。麗子の存在を知って、情愛の炎を一層燃やしはじめる杏子。彼女を諦めさせるには、本気で靖彦を愛している事を示さねばならない。さらに杏子は、いつ何時も靖彦を奪い取らんと狙っている。主婦であり、口説き屋という二重生活を抱える麗子にとって、立場は不利であった。長引けば、夫に気づかれ任務は失敗する。しかし、攻撃するのではなく、守るといういつもとは違うルールに、新鮮な興奮を覚える麗子。
同窓会を兼ねて、高校時代の友人と海外旅行に出掛けると、夫に嘘をついて家を出る麗子。口説き屋の興奮に震える心で、靖彦の家に転がり込む麗子。これから1週間、本気で靖彦の女を演じなければならない。杏子との戦いに決着をつけるのだ。対決姿勢もあらわに、杏子もまた靖彦の家に乗り込んでくる。ひとりの男を巡っての二人の女の闘いが始まる。靖彦と打ち合わせてあるものの、杏子の身体を張った愛情表現に、危機感を募らせる麗子。いくら敬遠しているとはいえ、靖彦も男である。いつ心変わりするか分からない。まるで競い合うように靖彦の心をつなぎ止めようと、見せ掛けの愛に溺れていく麗子。杏子との息詰まる対立を続けていくうちに、□説き屋と現実との境が分からなくなっていく。まるで世捨て人のようなシュールな靖彦『逆セクハラの危険 私は、変態常習者』スチール4
に、本気で魅力を感じはじめてしまったのである。もはや杏子をターゲットとしてではなく、恋のライバルとして見てしまうようになる麗子。絶えず張り詰めた緊張のなかで、靖彦に抱かれている時だけが安らぎを覚えしまうようになる。期限が迫るが、一向に手を引かない杏子。対する麗子は、仕事の事などすっかり抜け落ち、ひたすらに愛する男を独占したい、生々しい女の姿となっていた。そんな姿にいつしか真剣に愛を打ち明ける靖彦。君と一生を添い遂げたい。そんな言葉に心から嬉しく震える麗子。しかし一方、どうして靖彦はきっぱり杏子を撥ねつけないのか。沸き上がる嫉妬心に翻弄され、苦悩する麗子。そうして1週間が過ぎ、夫の元へ戻らねばならなくなる。もうゲームなんかじゃない。心身ともにボロボロになっても靖彦との愛を成熟させたいと、夫へ別れの電話を告げる麗子。突然の告白に狼狽する俊夫に、ごめんなさい、私を許してと涙ながらに訴える。もはや靖彦なしではいられない。生まれて初めて、人を愛するという事を実感したのだった。
靖彦と駆け落ちする事を決意する麗子。遠く離れた町で、のんびりと残りの人生を送るのだ。杏子からも、口説き屋からも逃れて、ただ一人の男を愛して暮らしていくのだ・・・。
靖彦と示し合わせて、こっそり待ち合わせ場所へ急ぐ麗子。人生はどうなるか分からない。まさか自分がこんな事になってしまうなんて、と感慨深く思いながら靖彦を待つ麗子。だが待ち合わせの時間を過ぎても靖彦は現れない。不安に胸が縛めつけられる。まさか靖彦は杏子と・・・。いたたまれぬ気持ちで靖彦の家に急ぐ麗子。だがすでにもぬけの空であった。靖彦に裏切られた・・・いや、杏子に負けた。悲しみにうちひしがれるなか、悔しさがこみ上げる麗子。このまま黙って杏子に取られてなるものか。二人を捜し出して、今度は私が靖彦を奪い取ってやる。そう思って立ち上がったその時、目の前に立ちふさがる女。それは、美帆であった。訳が分からず立ちすくむ麗子。してやったりの笑みを浮かべる美帆。どお?私の惨めな気持ちが分かった?ハッと理解する麗子。そう、靖彦も杏子も自分に向けられた口説き屋だったのだ。全てが美帆の復讐だったのである。怒りもなく、愕然とする麗子に、勝ち誇った美帆の笑い声が響きわたる。