◆スタッフ◆
製作:サカエ企画/提供:エクセスフィルム/監督:新田栄/脚本:岡輝男/撮影:千葉幸男/照明:高原賢一/音楽:レインボー・サウンド/編集:シネキャビン/助監督:小川隆史/スチール:佐藤初太郎/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック
◆キャスト◆
沢口あかね:竹内梨乃/綾瀬奈々:青山りな/中島洋子:佐々木基子/二階堂祐介:久保田泰也/二階堂治樹:なかみつせいじ/須藤和之:丘尚輝
◆解説◆
甘く切ない青春時代。校内で一番の美人先生に恋をした経験は誰でも一度はあるだろう。男臭い教室に、ふわっと香る女性の匂い。学生だった頃はそんな匂いにも敏感に反応した下半身が懐かしい。今回のお話は、そんな懐かしい学生時代を思いおこす作品に仕上がった。
主演は竹内梨乃。大人の女の魅力を振りまき『先生のアソコが、こんなに濡れちゃった』と若い男を貪り喰う。こんな先生と一発ヤリたい!
監督は新田栄がお贈り致します。
◆ストーリー◆
沢口あかねは、都内の私立高校で数学を教えている女教師である。一学期最後の日、生徒たちの帰った教室で、彼女は不倫相手の英語教師・須藤和之と愛し合った。ところが事後、彼から突然別れを示唆するようなことを言われてしまう。いつか妻と離婚し、結婚すると約束してくれていた須藤。だが、実は須藤の妻は妊娠していたのだ……。
「奥さんと冷め切っていたなんて、嘘だったのね」 職員室でひとりになったあかねは、衝動的に手首にカッターを当てる。とその時、電話がけたたましく鳴り、彼女は我に返った。受話器を取ると、相手は担任するクラスの生徒・二階堂祐介の父・治樹だった。
8月、とある避暑地の道を歩いているあかね。程なく、彼女は一軒の別荘に到着する。そこは、会社社長である治樹の別荘だった――
数日前の電話で、あかねは治樹から夏のホームスクーリングを依頼されていた。それは、喘息で学校を休んでいる息子を心配し、夏休みの間、遅れていた勉強を空気のいい別荘で見て欲しいと言うものだった。校長先生の特別の許可で、それを引き受けたあかね。だが、東京の喧騒を離れ静かな土地で傷心を癒したいと言う気持ちもあった。
初日の晩餐は、あかねの歓迎会となった。テーブルを囲むのは治樹と祐介。普段は多忙でバカンスなど許されない治樹も、さすがに今回は長期休暇を取って息子の夏期講習につき合うことにしていた。治樹の妻は、数年前に病気で亡くなっており、身の回りのことは秘書の中島洋子が面倒をみていた。洋子もこの夏期講習に同行している。美味しい料理に美味しいワイン。祐介も東京で会うより顔色がよかった。
夜、喉の渇きを覚えたあかねは、部屋を出る。すると、治樹の部屋で何やら声が聞こえてきた。ドアの前で聞き耳を立てる。どうやら、洋子は治樹にとって秘書以上の存在であるようだ。部屋に戻ったあかねは、つい須藤のことを想い出してしまう。
翌日、ホームスクーリングが始まる、各教科の先生からテキストを預かって来たあかねは、それで祐介を指導する。しかし、元々真面目な祐介は、学校を休んでいたからと言って学力が著しく落ちているようではなかった。
昼過ぎ、あかねは祐介を散歩に誘った。並木道を歩き、新鮮な空気を吸う。その時、草むらでガサガサと音がした。青大将だ。「キャッ」と叫んであかねは祐介の後ろに隠れた。祐介はそれを追っ払うと、照れくさそうに「先生、弱虫なんだな」すると、あかねは言った。「祐介くんは、強いのね」ふたりの距離が少し縮まった。
夜、ベッドの中で祐介は、二の腕と背中にあかねの感触を想い出していた。「キャッ」と言って掴まれた二の腕。怖そうに押しつけられた乳房。普段は凛とした印象のあかねが見せた女らしい一面。彼は、そのギャップに憧れを抱くようになる。
それから祐介は、あかねを女性として意識してしまう。勉強している間のインテリジェンスな顔、野の花を摘んで部屋を飾る女性ならではの心配り、そして時々見せる憂い顔。そのいちいちが年上の女性への憧憬となる。あかねも、そんな祐介の視線に薄々気づくのだった……。
ある日、病院から帰り道。町を歩いていた祐介は、同級生で幼馴染みの綾瀬奈々と会う。「お前、こんなとこで何やってんだよ」 すると、ボーイッシュな奈々は「心配して来てやったんだろ」と答えた。だが、本当は夏休みを利用して近くのペンションでバイトをしているらしい。
道をブラブラしながら久しぶりの会話。ふたりはまるで性別を超えた親友同士だ。奈々は、祐介の別荘にあかねが来ていることを聞かされる。「お前、先生に変な妄想してんじゃねえのか?」奈々が鋭いツッコミを入れる。「バカ言え」 言いながらも、祐介はドキッとなった。
その夜、勉強していた祐介はふとあかねとのHを妄想する。年下の祐介をリードしていくあかね。そして結合。あかねは、祐介の腰の上で身も世もなく悶えた。それは、大人の女性の顔だった。
だが同じ頃、隣室ではあかねがメールを受け取っていた。須藤からのものだ。自分から別れを示唆するようなことを言っておきながら、復縁を迫る内容。あかねの心がざわめく。
別の日、あかねと祐介が日課の散歩をしている。最近は、祐介の体調も良好だ。しかし、あかねの様子がおかしい。どうやら出がけにコーヒーを飲みすぎて、尿意を覚えたらしい。茂みに隠れて用を足す。「祐介くん。お願いよ、誰も来ないように見張っていてね。それから、何か歌って」 あかねは、おしっこの音を祐介に聞かれたくなかったのだ。鼻歌を歌う祐介。でも、あかねのおしっこの音が微かに聞こえた。「あの清楚な先生がおしっこしている」祐介は昂奮してしまう。
あかねに対する祐介の想いは爆発しそうだった。しかし、祐介には問題があった。彼は、童貞だったのだ。経験がなければ、年上の女性を満足させてやれない。バカにされたらどうしよう。若さ故の悩みだ。
悩んでいたらおしっこがしたくなった。部屋を出て便所へ行く祐介。その時、彼は少し開いたあかねの部屋を覗いて驚く。あかねが、誰かと電話しながら涙を流していたのだ。「先生……」
翌日、病院の帰り道。祐介は、昨夜のあかねのことを考えながら歩く。「あんな時、大人の男ならどうすべきだったのか?」 そこへ奈々が通りかかった。祐介は、「こいつも一応女だから……」と相談してみる。奈々は言った。「そういう時は、黙って抱いてやればいいんだよ」 しかし、童貞の祐介はどうしていいか分からない。すると奈々が言った。「俺が練習台になってやろうか?」
ペンションの奈々の部屋。奈々と祐介がぎこちなくキスをする。分かったような分からないような。じれったくなった奈々は、セックスするように促した。「いいのかよ」そう言う祐介を、奈々は黙って抱き寄せた。
事後、祐介は奈々に尋ねる。「どうだった?」奈々は言う。「そんなこと聞くなよ」 奈々は、祐介のことを秘かに想っていたのだ――
童貞を捨てた祐介が帰宅すると、治樹が待ち構えていた。なんでも会社で急用が出来て明朝一番、帰京しなければならなくなったと言うのだ。勿論、秘書の洋子も一緒だ。しかし、あかねと祐介をふたり残すのは心配だ。すると、祐介は言った。「その間、僕は友だちの所に泊るよ。近所に病院で知り合った友だちがいるんだ」 勿論、そんな友だちなどいない。だが、とりあえず治樹たちは安心した。
翌朝、治樹と洋子を見送ったあかねと祐介。祐介も「友だち」の家に出かけた。
別荘にひとりになったあかね。読書をする。だが、集中出来ない。最近は、須藤からのメールが頻繁になっていた。
一方、祐介は夜になるのを待っていた。こっそり忍んで想いを遂げるのだ。先生を慰めてあげるのだ。
ところが、漸く夜になって祐介が別荘に行くと――あかねは、別の男と部屋にいたのだ。それは、英語教師の須藤だった。須藤は、校長先生からそれとなくあかねの居所を聞き出し、やって来たのだ。何やら真剣に話し合っているふたり。瞬間、あかねが須藤の顔を平手で打った。そんなあかねを押さえ込む須藤。「嫌い、嫌いよ!」と言いながら、須藤のキスに力が抜けていくあかね。一瞬、祐介と目が合った――ような気がした。
ふたりの複雑な心境のセックスを覗き見ながら、祐介は自分がまだまだ子供であることを思い知らされる。
傷心の祐介が別荘から出て来る。それを物陰で待っていた奈々。「どうだった?」 尋ねる奈々に祐介が言う。「そんなこと聞くなよ」 ふたりは、並んで歩き出す。
こうして、夏休みは終わった――
9月新学期。祐介が登校している。始業のベルが鳴る。担任のあかねが教室に入って来た。何事もなかったように授業を始めるあかね。一瞬、あかねと祐介の視線が合った。祐介の脳裡に、避暑地の出来事が蘇る。「先生は、僕に気づいていたのだろうか? いや、そんなことどうでもいい」 少し大人になった祐介は、教師の顔で教壇に立つあかねを見つめた。あかねも、祐介を見つめ返した……。