ピンクの炎 第1回 社長に聞く その2

工藤:エクセスの歴史は、日活ロマンポルノ終了後、その配給や劇場に供給する作品の枠を受け継ぐ形で始まったわけですよね

稲山:平成元年からですからね。来年で30周年です。

工藤:エクセス映画の特徴として良く言われるのが、ポルノ度重視というか、絡み重視というか…。それは最初からですか?

稲山: いえ、初期の頃は日活の流れを汲んだ“映画的”なものが中心でした。日活出身でNCP(ニュー・センチュリー・プロデューサーズ)の八巻晶彦さんや日活営業部の荒井さんがプロデュサーだったりして、そういうのが10本ほどありました。ポルノ度最優先になったのは、小松俊一さんという企画部長が日活ビデオからいらしてからですね。小松さんの最初の企画は、イブちゃんと、韓国の女優、そして林由美香の3人をキャスティングして、通常の3倍くらいの予算がかかってます。併映も通常の2倍くらいかけたSMでした。


工藤:花火を上げたわけですね。

稲山:その後は、アダルトビデオをぶっ飛ばせという事で、最初が絡み、最後が絡み、その間も絡み、どこを切っても絡みとういう金太郎飴のような(笑)

工藤:なるほど(笑)。やがて稲山さんが企画を担当するようになる訳ですが、稲山さんとしては、どんな路線を打ち出したんですか?

稲山:いやあ、最初の頃は同じですよ。急には変えられなかったですね。その後、徐々に変えていって色々な映画を作っていきましたが、それが瀧島が監督した1998年頃からですね。

工藤:今、エクセス動画で見る事ができる作品は私の監督作も含め、稲山さんが企画した作品が中心ですね。お話をお聞きしていると、エクセスの初期作品や、小松企画部長の時代の作品も見たくなりました。

稲山:これから順次配信していきますから、期待していて下さい。

工藤:エクセス映画の変わり種として、韓国ロケのや、ロシア人が主役のシリーズがありますね?

稲山:韓国のは早過ぎたですね。韓流ドラマが流行る随分前ですもの。韓国映画の買い取りは何本かキネコでやりましたけど

工藤:ロシア人が主役のは?

稲山:けっこうヒットしましたね。あれは3本作りました。でも、3本目の主役はカナダ人だったらしい。

工藤:カナダ人よりロシア人の方が売れると?

稲山:まあ、シリーズですからね(笑)

工藤:エクセスショップについて聞きたいんですが、これはポスターや現場スチールなんかを売るんですね。

稲山:そうです

工藤:ポスター作りは、昔は専門のデザイナーさんがいましたが、今は、稲山さんが自らやってらっしゃるんですね。具体的にはどんなやり方なんですか?

稲山:まず、ポスター案というのを作るんです。ロゴも作って、全体的なレイアウトをして

工藤:全て自分で?

稲山:そうですよ。初期の頃は撮影が4日間で、それと別にポスター撮影の日があったんです。

工藤:90年代の初めくらいまでの話しですかね。今は、平均的な撮影日数が3日間で、ポスター撮影もその中に含まれていますね。

稲山:そうですね。だから、昔は楽と言えば楽だったんですが、たまにポスター撮影に来ない女優がいるんですよ。

工藤:それは困りますね

稲山:誰とは言いませんが…、松〜という監督の組ですよ。六本木の、当時の日活宣伝部なんかもよく使っていた喫茶店で、朝7時の待ち合わせでした。担当は元日活の千葉さんというプロデューサーだったんですが、いつまで待っても誰も来ない。

工藤:結局、どのくらい待ったんですか?

稲山:待っただけじゃないんですよ。その後、電話で、都内の色んな所へ移動させられたんですよ、何カ所も!

工藤:女優を追いかけてですか?そりゃ大変だ。

稲山:夜になって、やっと葛飾の立石ミリオンという劇場で撮ったんですが、大変でした。

工藤:それは、お疲れ様でした(笑)今は、AVで活躍している女優さんが多く、割と事務所がしっかりしてて、時間通りに現場に来て、時間通りに帰る感じですが、昔は色々ありましたね。

稲山:珠瑠美さんが監督の作品で、ポスターを撮っていると、あなたの横にもう1人の顔が見えると泣き出したり。

工藤:心霊が見えると言う事ですか?

稲山:そうなんでしょうね。

工藤:ピンク映画で裸になるという女優さんは、みんなそれぞれ、色々な事情を抱えているでしょうからね

稲山:そうですね。とにかく昔は大変でした。今も、もちろん大変ですが(笑)

工藤:最後に、これからのエクセスの映画作りについて聞きたいんですが、今後の方針は?

稲山:このサイトを駆使して、サイトありきの作品をやってみたいですね。劇場で公開する前に、まずこのサイトで封切りをする。サイトで、まず公開して評判をとって、それから劇場に展開するというような事ですね。

工藤:新作を?

稲山:それなりに名のある女優を起用する事も考えています。

工藤:それは楽しみですね。

稲山:とにかく今までと同じ事をしていても仕方がない、新しい事をしたいですね。

工藤:これからも、映画をどんどん作るということですね。

稲山:ええ、お金がある限り(笑)。その為にも、みなさんにこのサイトを大いに使って楽しんでもらいたいですね。

工藤:映画を1本見てもらう度に、ポスターが1枚売れる度に、お金が入るわけですものね(笑)お酒ばっかり飲んでないで、儲かったお金は、全部新作につぎ込んで下さいよ!

稲山:はあ(笑)

工藤:今日は、どうもありがとうございました。

稲山:ありがとうございました。