如何にも不倫 されど不倫

2014年公開

◆スタッフ◆

製作:ネクストワン/提供:Xces Film/脚本・監督:工藤雅典/撮影:井上明夫/照明:小川満/音楽:たつのすけ/編集:早川亮/助監督:久保朝洋/スチール:MAYA/録音:シネキャビン/現像:東映ラボテック/

◆キャスト◆

杉村詩織:鈴木杏里/相川紗理奈:キヨミジュン/岡田晴子:佐々木麻由子/岡田健司:深澤和明/真田茂之:なかみつせいじ/島本卓也:柳ノ内たくま/黒月:平川直大/赤沼:佐々木恭輔/桑原治:竹本泰志

◆解説◆

不倫の恋は一般の恋愛と比べると、倍以上に燃え上がると言われている。背徳の恋はまさに密の味。ダメだと分かっているからこそ、人間はその恋にハマっていく。

 今回の作品『如何にも不倫、されど不倫』はそんな男と女の性『さが』の物語です。

 主演は鈴木杏里。スレンダーな彼女が淫乱なニュースキャスター役で大活躍。妻子がある男を惑わせます。『本気で私の事を愛せますか?』と迫真に迫る演技で映画を盛り上げる。

 監督は工藤雅典がお贈り致します。

◆ストーリー◆

東京、西麻布あたりの通りを歩くハイソな身なりの中年夫婦。岡田健司と妻の晴子だ。晴子「よかったわね、父がまた資金提供してくれて」健司「君のお父さんにはお世話になりっぱなしだな」。晴子「いいのよ、あなたは私を幸せにしてくれさえすれば。父はそれだけが望みなんだから」健司「ああ、分かってる」。晴子の手を握る健司。

 西麻布のロックバー。カウンターに座る健司と晴子。晴子「こういう所に来るの学生の時以来ね!」と楽しそうな晴子。「そうだね」と晴子に合わせる健司だが、後ろのボックス席が気になる。ボックス席では、ゴージャスなカップルが一目をはばからずディープ・キスをしている。健司の視線の先に目をやる晴子。晴子「あっ、あれニュースキャスターの杉村詩織よ。相手は、たしかJリーガーで奥さんも子供もいたはず。嫌だ、不倫よ、不倫!」

 湘南の別荘地。夏は過ぎ、海には秋の風が吹き始めている。去る夏を惜しむように、大勢のサーファーたちが波乗りを楽しむ浜辺。

 海岸近くに、健司が開いたバーがある。健司はサラリーマンを辞め、晴子の父親の出資でこのバーを開いた。健司は、若い従業員の紗理奈と不倫をしている。ウブな娘だった紗理奈は、今では健司のどんなセックスの欲望にも従順な女に調教されている。店の経理状況をチェックしている晴子の目を盗み、今日も開店の準備の合間に紗理奈を抱く。不良サーファーの島本卓也が紗理奈に言い寄ってきているが、健司に夢中の紗理奈は相手にしない。ふて腐れる卓也。

 波打ち際を歩く、とびっきりの美女。つばの広い帽子を深くかぶり、大きなサングラスをかけている。立ち止まり、サングラスをはずし、遥か沖合に目をやる。あのバーにいた、杉村詩織である。そのそばには、詩織を監視するように中年の男がたたずんでいた。

 東京に帰る晴子を駅に送っていく健司。海岸にそった通りを歩く二人。美しい妻と若い愛人。仕事もセックスも充実している。今が人生で最も満ち足りた時期なのではないかと健司は思う。気持ちのよい西風を胸いっぱいに吸う健司。ふと立ち止まり、浜辺に立つ女を見る。どこかで見た女だ。怪訝な表情で夫の視線の先を見る晴子。「あ、あの女!」と晴子が言う。晴子「あれ?あっ、ほらあの時バーにいた、キャスターの杉村詩織よ。妻子あるJリーガーとの不倫がばれて、夜のニュース番組を降板して謹慎させられたのよ。不倫でキャスターの地位を棒に振るなんて、バカな女よね。でも、なんで、こんな所にいるのかしら?」妻の言葉には上の空で、詩織を見つめてしまう健司。晴子「そんなに見たってだめよ。ほら、男と一緒だもの。別の不倫相手かしら?いやらしい女ね」と笑う。「本当だな」と健司。二人笑って通り過ぎる。

 その夜、健司のバーに、なんと詩織が現れる。謹慎中の詩織はマスコミをさけ、東京から離れたこの町に来ていた。紗理奈に相手にされず、ふて腐れていた卓也が声をかけると、詩織は思わせぶりな態度で卓也をからかう。店の中でパンツを脱がされるなど、恥をかかされた卓也は、紗理奈にたしなめられ、すごすご退散する。しかし、健司は詩織が醸し出す色香にたちまち虜になる。健司は店から出る詩織を待ち、勇気をだして話しかけるが、詩織は「マジな男は嫌い。遊びならつき合ってもいいかもね」と笑って去る。

 海岸で、バーの恨みを晴らそうとする卓也にからまれる詩織。その詩織を救ったことで、健司と詩織は打ち解ける。詩織は「今は誰もいないから」と、別荘に健司を誘う。別荘の中で濃厚なセックスをする健司と詩織。その二人のセックスを物陰からあの中年の男が見ていた。男の名前は真田で、詩織の上司だった。

 健司の店に真田がやってくる。真田は将来のある詩織を守りたいと言う。詩織はセックス依存症で、精神的に不安定なので、男と二人になると何をしでかすか分からないと言う。真田は詩織に近づかないよう健司に警告して去る。 

 翌日、真田の話を確かめるため、別荘に向かう健司。別荘では、真田が詩織をベッドに縛り、変態的なセックスを強要しようとしていた。健司は逆上し真田に飛びかかる。揉み合いなる真田と健司。全裸で二人の争いを止める詩織。テレビに復帰したければ、自分に体を差し出す他ないと捨て台詞を残し去って行く真田。

 詩織と健司の関係はどんどん深いものになっていく。健司を深く愛し始めた詩織は、それぞれ真田・晴子と別れ、二人で遠い街に移り住み、暮らす事を提案する。

 健司にすっかり相手にされなくなった紗理奈は、健司が詩織と密会を重ねていることを知る。裏切に怒り、自暴自棄になった紗理奈は以前から口説かれていたバーテンの卓也に抱かれる。紗理奈は健司と詩織の関係を妻の晴子にバラスように言う。

 晴子の元を訪れた卓也は、健司と詩織の不倫をバラし、動揺した晴子をレイプする。恥辱にまみれる晴子。その心とは裏腹に晴子の体は若い男とのセックスの快感に酔う。

 数日後、荷造りをして家を出る健司。晴子に書き置きを残した。

 一方、健司のバーには紗理奈が不良サーファー黒月と赤沼の二人が到着していた。紗理奈の手引きでバーの売り上げをすべて奪い、山分けする黒月、赤沼。3人は詩織の別荘に向かう。

 別荘で、健司の到着を待っていた詩織を襲う黒月たち。抵抗する詩織をむりやり押さえつけて犯す。そこへ、晴子がやってくる。二人は晴子に顔を見られたので、一緒に犯して口止めしようとする。

 遅れてやってきた健司。健司は詩織と晴子が同時に犯されている姿を目撃する。とっさに健司が救おうとしたのは詩織ではなく晴子だった。ショックを受ける詩織。黒月たちは健司を縛り上げ、目の前で詩織と晴子を弄ぶ。黒月たちの隙をついて全裸で廊下へ逃げる詩織。黒月が詩織を追う。詩織は逃げ込んだ一室で壁に飾ってあったショットガンを手に取り弾を込める。

 銃声がして、逃げて行く黒月たちが見える。「あなたは不倫するには優しすぎるわ。二人で帰って…」と言って奥の部屋に姿を消す詩織。残された健司と晴子。健司は晴子に向け、薄笑いを浮かべるが、その頬を殴る晴子。

 閉店している健司の店。晴子に捨てられ一人になった健司が海岸をさすらう