女医と患者 秘め事診察
2008年公開
◆スタッフ◆
製作:ワイ・ワン企画/提供:Xces Film/監督・脚本:遠軽太郎 2000年『女医(秘)性生活 人に言えない性癖』より/撮影:鷹野聖一郎/照明:相模昌弘/音楽:駿下真実/編集:フィルムクラフト/助監督:児玉成彦/スチール:菊池康陽/録音:シネキャビン/
現像:東映ラボテック/
◆キャスト◆
吉沢里美:高橋裕香/杉本りりか:里見瑤子/桜田百合絵:今井恭子/藤井克彦:真央はじめ/猪熊末吉:辻親八/早瀬正太郎:山口文明/磐田堅一:小林節彦
◆解説◆
明日は我が身!かもしれない。
全ての悩める患者さんいらっしゃい!と、いわれてもなかなか行けないのが診療内科。しかし、高橋裕香扮するステキな女医さんの診療室は、見たことも、聞いたこともない、夢のような珍治療。心を悩めるものなら犬でも、人でも、なんでも、どこでもカウンセリング。「ねえ、皆さん。一人で悩んでないで、私のところにいらっしゃい!心身共に楽にしてあげるわよ」と豪語する。
ところで、あなたはどんな性癖をお持ちですか?人に言える性癖ならまだ甘い!ここの患者達は人に言えない重度の性癖の保持者達。露出プレイ(人に見られる、見せる事により異常な興奮状態に陥る)赤ちゃんプレイ(自分が赤ちゃんになって、オムツの中などに放尿する。マザーコンプレックスの傾向あり)M男プレイ(SMのMを意味する。いじめられることに快感を覚える)・・・。と、性癖も十人十色。詳しい内容は映画を見てからのお楽しみ・・・。
監督はノリとテンポの遠軽太朗。ちょっと奇妙な人間模様か?アブノーマルの世界か?
乞う御期待!!
◆ストーリー◆
ベッドの上で里美と、その恋人の大病院の院長の御曹司藤井克彦が愛し合っている。藤井のセックスはやや荒々しくはあるが、自信に溢れている。
里美は心療内科志望で、医大での修養期間を終了したのだが、なにぶん就職難のご時世。とりあえずは医大の教授の口利きで、個人経営のクリニック『猪熊こころよろず相談所』で働くことになった。
しかし、あくまでもここは腰掛け、もっと大きな珍療内科を希望している里美である。
きっちりしたスーツに身を固め、里美は紹介状を持って『猪熊こころよろず相談所』へ向かう。里美の受けた印象は…。院長の猪熊はなにごとにも大雑把。患者に対する応対も乱暴な上に、セラピーも里美にはただのよもやま話のように感じられる。
初日で右も左もわからない里美はいきなりカウンセリングを担当させられる。それは無理だと断る里美に、猪熊は「なにごとも経験、経験。自分の思う珍療をすればいい」と、とりあわない。
まず、患者の磐田竪一は公認会計士。新任の女医の登場に始めは探るような態度だが、やがて態度が豹変する。里美の下着の色の探察に始まり、里美の性生活の話を根掘り葉掘り聞き始める。磐田の頭の中は妄想でいっぱいになり、完全に自分の世界に入り込んでいる。
手の施しようのない状態の里美の前で磐田はズボンを脱ぎ始める。里美は身の危険を感じるが、磐田がズボンを下ろすと、本来パンツがはかれているところには紙オムツ。磐田の妄想の中では姿態を見せつけながら里美が股間に手をおいた。そのとき、現実の世界の磐田ほ、オムツの中に放尿する。
意識を取り戻した磐田ほ、里美にオムツを換えて欲しいと頼むが、里美はとりあわない。
続いて、里美は次の患者のセラピーに立ち会うように命じられ、患者のカルテを渡される。カルテに書かれた患者の症状は『ヒステリー性解離症状』多重人格だった。
患者は桜田百合絵。大企業の海外部に勤める優秀なOLだという。
厳格なビジネスウーマンとは全く正反対の、男性に守ってもらわなくては生きてほいけない、サクラという男性依存の人格である。
やがて「優しく自分にも快感を与えて欲しい」と服を脱ぎ始める。猪熊も百合絵の行動を拒まず、求めに応じて体を重ねていく。
耐えられなくなった里美が席を立とうとすると、そのときにまた、別の人格が現われる。ナオミと名乗るその人格は、淫らで惨めな女のそのものの自分の姿を人に見て欲しいという、被虐的かつ露出趣味のものだった。
百合絵ほ「自分の淫らな姿を見て欲しい」と望み、里美の前で百合絵と猪熊は交わる。
その日の診療後、里美ほ猪熊の常軌を通した治療方法に抗議する。
里美の抗議に猪熊は、自分たちの考える常識の枠の中で、正常・異常を判断できるのかという疑問。そして「医師は病気ではなく、病人を診るもの」という持論で反論する。
翌日、今度は心因性のインポテンツに悩んでいる早瀬正太郎という自閉気味の患者だ。見るからに気の弱そうな早瀬は無論女性経験もない。
ある日、女子高生の杉本りりかに声を掛けられる。数人の男性との援助交際によって、月々多額の小遣いを得ているりりかは、今度は金を払って男を買いたいと思っていた。
男達のおもちゃになり続けてきたりりかは、その抑圧された思いを早瀬にぶつけるかのように、童貞で女性の扱いを知らない早瀬をせせら笑い、罵声を浴びせ掛ける。
やがて早瀬はインポテンツになり、さらにはヌード写真など性的な表現にさえ極度な拒否反応を示し、嘔吐さえするようになっていった。
早瀬は女医の出現に驚き、全く里美のカウンセリングに答えない。困った里美は猪熊に診察方法について相談するが、猪熊は「病気の分析だけが医者の仕事じゃない。患者の心に近づくことだ」と・・・。
一方、磐田の妄想はますますエスカレートし、もはや里美の珍事は磐田のレクリエーションと化している。
妄想の中で磐田は赤ん坊のように里美に扱われることで大興奮。そんな磐田に里美は「オムツ、換えましょうか。」と申し出てみる。意外な対応に驚く磐田。オムツを取り替えようとしたとき、磐田は自分からオムツを棄てる。「ありがとう、吉沢先生。私の馬鹿に付き合ってもらって。私、これからこんなことに頼らずにいきていきますよ。ただ・・・」「ただ?」「これからも、無駄話しにきてもいいかな。」里美は磐田の心に近づけた気がした。
里美は早瀬と打ち解けた雰囲気で接する。友人として、恋人として、一人の人格として専重しながら…。里見の優しい口調に、早瀬が始めて口を開く。「先生は、今、おいくつですか?」この機会を失ってはいけないと里見は感じ、思いきって早瀬を、次の日曜日、デートに誘った。恋人のように接することで、早瀬の心は里美に打ち解けていった。デートの帰り、里美は早瀬を自宅に誘った。心を開いた早瀬が、りりかの話を語り始めた。
りりかの性的な侮辱を幾度も受けつづけた早瀬は、怒りと抑え付けてきた性欲が爆発し、りりかにのしかかり、犯そうとした。
しかし、経験の無い早瀬は勝手が分からず、やがて萎えてしまう。そして焦れば焦るほと勃起しないのだった。
りりかの勝ち誇ったような嘲笑。それ以来、早瀬は男の機能を失った。
そこまで、話したときに里美の家に克彦がやってきてしまう。
その状況に宅った克彦が口汚くののしったとき、おとなしい早瀬が克彦に掴みかかり、克彦を追い出してしまう。
「あれは先生の恋人だったんでしょう?」と反省する早瀬に「いいのよ、あの人には心がないんだから。」と逆に慰める里美。
二人は自然に結ばれ、早瀬の男も回復する。
患者たちの卑猥な言葉や、猪熊のからかいにも余裕を持って受け答えする里美。そんな里美を頼もしげに見る猪熊。すぐにサボろうとする猪熊の尻を叩く里美はすっかり、この奇妙なクリニックに馴染んでいた。
高橋裕香 |
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里見瑤子 |
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